愛と青春の旅立ち
昨日の雨が花を散らして今年もまた桜の見頃をやり過ごしてしまったのは残念といえば残念ではあるけれど来年があるからと毎度言い聞かせて自分を慰めることの終わりが実感できるようになってみるとそれは残念の一言で済ませられないような気もするし日々無駄な時間を過ごすことよりもっと大切なものを失っていく瞬間をただ放置してるようで鬱々と脳髄に浸透する負の粘液はやはりドス黒い色をしているのだろう。
キャンパスに続く長い桜並木の通りを過ぎ誇らしげな気持ちで大学の正門をくぐった日のことは何年経ってもこの季節になれば思い出す。 その時は自分の未来もこの社会の未来も希望に満ちていて現在の何もかもがドス黒さの一歩手前の醜く形容し難い不快な色彩に染め上げれた世界について何を言っても下手な冗談くらいに扱われてまともにとりあう人もいないに違いない。
四月の大学キャンパスは部活やサークルの勧誘以外にも新入生を歓迎する催しがちらほら行われていて映画研究会だったか愛好会だったか名前は忘れたけどとにかく映画好きな学生の集うサークルが主催する新入生歓迎映画鑑賞会で上映された作品がその年は「愛と青春の旅立ち」で映画のストーリーはともかく確かにみな青春真っ只中だし新しい生活に旅立ったところでもあったから安易といえば安易だけれどこのタイトルの映画をかけることはそう悪い選択ではないと思うしようやく受験勉強から解放されて一ミリも頭を使いたくない身にはとりあえず毒にはならない。 今だったら多方面から叩かれまくるに決まってるこんな映画が普通に観られていた時代は映画館やそれらに類する場所で映画を観ること出来なくなったことを思えばこのこと一つとってみても幸福だった。
自己責任
チェーン展開するカフェ、仮に名前をAとします。 老舗でもあるAは着々と店舗数を増やしメニューを充実させ顧客の満足度も高く、カフェチェーン一番人気の地位を守り続けています。
お客の側から唯一不満なのは価格です。 地価の高い一等地ばかりに出店する社の戦略、季節ごとに新商品を投入する製品開発に対する姿勢はそのままコストとなって返ってきます。
結果、他社が経営する店舗に比べて商品の価格がどうしても割高になります。
にも関わらず数あるライバル社をおさえて売り上げ純益共にトップであり続けています。これまでの実績による信頼、商品への満足度の高いこと、加えて巧みな広告宣伝等が価格差をハンデとしないのがその理由だと考えられています。
そこへ大資本をバックにCというグループ企業が参入してきます。 Cは元々業界内での知名度もなく当初はユーザーから見向きもされなかったのですが、短期間で多店舗展開しつつ莫大な広告費を投じてその認知度を上げることに力を入れます。 豊富な資本を武器に複数のメディアを使った宣伝によりじわりじわりと知名度を上げ、やがて知名度が人気に転じて売り上げを押し上げ、ついにはAに継ぐ業界二位にまで昇りつめます。
Cの強みはなんといっても値段の安さです。Aの半分、ものによってはそれより安いメニューもあります。 それでいて味でも負けていません。 全ての面での親会社からのバックアップが採算を度外視した価格設定を可能にし、またそれが方針でもあるのです。 Cの主たる経営目的は利益を上げることもより親会社のイメージを上げるためでした。
Aはそれでもこれまで通り商品開発に努めCに対抗するためにコストを削減して値下げすることもありません。
Aは順調に売り上げを維持して利益を出しています。 ただ、急成長するCがAからトップの座を奪うのは時間の問題のように思われました。
Cの低コスト実現にはもう一つ理由がありました。 各店舗の入り口のドアの右下に、普通に通り過ぎると見逃してしまいそうなところにはこう書かれています。
" 当店が原材料として使用するコーヒーの豆は栽培効率化のため最大基準値の農薬が使用されています
また、ミルクは長期保存にも耐えられるよう薬品による殺菌処分が施されています
これらを踏まえて当グループの提供する商品をご賞味ください "
さて、あなたならどちらのお店を選びますか。
リハビリを兼ねて
またこのブログを書き綴ってみようかという気になった。最後に更新してから2年以上経過しているのに、生活は何も改善されていない。体調はむしろ悪化してる。
2年はけっこうな時間で人や物事が変化するには十分な期間なのに、何も変わっていないのは驚きだ。
良し悪しは別として今のところ時間だけはある。 日記代わりにダラダラと文章を書くのも頭の中を整理するにはいい作業かもしれない。
この2年で変わらなかったのは自分だけで、世の中は随分と変わった。 相変わらずの不況はいよいよ深刻さを増して最悪の結末が想像できるところまできた。 まさか自分の生きてるうちにこんなことに…
そうつぶやく瞬間がすぐ迫っている。 この頃はそんな風に考えるようになって夢も希望もあったもんじゃない。
朝から聴くジャズ
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ノスタルジーというフィクション
自分はその時代を知らないしその後も原風景として幼少の記憶に焼きついているわけでもないのに洋館を見るたびにノスタルジックな気分からついシャッターを切るのは幻想でしかない。
洋館に限らず古い日本家屋もそうだ。わたしが住んでいた町の風景とは全く異なるものを見て懐かしく思うのもリアルじゃない。記憶の再現をそこに見ているのではなく後付けで作られた新しい記憶に合致させてはノスタルジーに浸っている。
太陽さえあれば
とりあえず太陽が顔をのぞかせていればなんとかなる。いろんな意味で。
雨降りだとどうしようもない。いろんな意味で。 生きてるのすら厭になる。
だからもう映画館へは行かない
人が集まる場所が苦手だからそもそも映画館に行かなくなってずいぶんになる。 それでもたまにこれは劇場で観たいと思わされる作品が公開されるとなると少しは心が動く。
しかしながら映画館へやってくる客のマナーはシネコンが主流になるあたりからますます酷くなって不快な気分で劇場を後にすることが少なくなかった。 そこへきてスマホだ。 これが普及しだすと人は所構わず今それする必要があるのかってくらい片時もスマホを手放さずに弄り続ける。 映画の上映中も例外ではない。 本人はどう思ってるのかスマホの画面の照明でも暗闇の中ではかなり目立つ。はっきり言って目障りで気が散る。
まあ中には電源を切るのをうっかり忘れてしまったという人もいるだろう。 そんな人まで責める気はない。 ただ不愉快であることに変わりはない。 だからもうわたしは映画館へは行かない。