生きづらくとも

憂鬱ななモノローグ

自己責任

チェーン展開するカフェ、仮に名前をAとします。  老舗でもあるAは着々と店舗数を増やしメニューを充実させ顧客の満足度も高く、カフェチェーン一番人気の地位を守り続けています。

お客の側から唯一不満なのは価格です。 地価の高い一等地ばかりに出店する社の戦略、季節ごとに新商品を投入する製品開発に対する姿勢はそのままコストとなって返ってきます。

結果、他社が経営する店舗に比べて商品の価格がどうしても割高になります。

にも関わらず数あるライバル社をおさえて売り上げ純益共にトップであり続けています。これまでの実績による信頼、商品への満足度の高いこと、加えて巧みな広告宣伝等が価格差をハンデとしないのがその理由だと考えられています。

そこへ大資本をバックにCというグループ企業が参入してきます。 Cは元々業界内での知名度もなく当初はユーザーから見向きもされなかったのですが、短期間で多店舗展開しつつ莫大な広告費を投じてその認知度を上げることに力を入れます。 豊富な資本を武器に複数のメディアを使った宣伝によりじわりじわりと知名度を上げ、やがて知名度が人気に転じて売り上げを押し上げ、ついにはAに継ぐ業界二位にまで昇りつめます。

Cの強みはなんといっても値段の安さです。Aの半分、ものによってはそれより安いメニューもあります。 それでいて味でも負けていません。 全ての面での親会社からのバックアップが採算を度外視した価格設定を可能にし、またそれが方針でもあるのです。 Cの主たる経営目的は利益を上げることもより親会社のイメージを上げるためでした。

Aはそれでもこれまで通り商品開発に努めCに対抗するためにコストを削減して値下げすることもありません。

Aは順調に売り上げを維持して利益を出しています。 ただ、急成長するCがAからトップの座を奪うのは時間の問題のように思われました。

Cの低コスト実現にはもう一つ理由がありました。 各店舗の入り口のドアの右下に、普通に通り過ぎると見逃してしまいそうなところにはこう書かれています。

" 当店が原材料として使用するコーヒーの豆は栽培効率化のため最大基準値の農薬が使用されています

また、ミルクは長期保存にも耐えられるよう薬品による殺菌処分が施されています 

これらを踏まえて当グループの提供する商品をご賞味ください "

 

さて、あなたならどちらのお店を選びますか。